超クルマはかくして作られる 4544910072 二玄社
■Amazonエディターレビュー 日本のお家芸「モノづくり」が中国にお株を奪われつつある今日、唯一元気のいい日本の自動車産業。その元気の秘密はどこにあるのか? 本書は自動車ジャーナリスト福野礼一郎が、それまでの「ケチをつけるだけの」自動車評論に飽き足らず、モノづくりとしてのクルマの本質に迫ろうと、二玄社刊CG(カーグラフィック)誌において4年間にわたり主にクルマづくりを支える部品メーカーを取材、連載されたシリーズの後半部分をまとめたもの。前著????? ̄??≪????? ̄??????????????????????????????では革、木、布、ガラス、塗料、内装材などわれわれの日常生活になじみ深い素材や部品作りを取り上げ、いわば「外堀を埋めた」のに対し、下巻である本書では、メカニズムとしてのクルマの中枢をなす、ボディー、タイヤ、トランスミッション、エンジンなどという「内堀」に迫ろうとしている。 クルマの部品生産というと、他の工業製品同様、単純作業の繰り返しにしか思えないかもしれないが、実際はまったく違う。おそろしく複雑な工程と偏執狂ともいえる品質へのこだわりによって、生産されている。そんな人々の情熱を、ときに歴史的な視点から、ときに物理法則からわかりやすく説いている。実際に自動車の開発に携わる人であれば、部品メーカーを訪問し、ひととおり案内してもらっただけで、ここまで技術の本質をとらえて書き表すことがいかに困難か理解できるはずだ。 とはいえ、本書で最もひかれるのは、エンジニアでも経済評論家でもなく、あくまでも一介のクルマ好きライターの眼で描かれていること。「ツカミ」と「キモ」ばかり気にかけ、おもしろく読んでもらうことだけを優先しがちな「最低の奴ら」である自らの仕事ぶりへの挑戦。だからこそ、読んでいて共感できるのだ。 最後に、本書に収められた膨大な写真の素晴らしさについてコメントしておこう。最新の工場での撮影は、レーザー光による寸法チェックなどのため難しく、「結局ラインを一度止めて」撮影したものばかりだという。生産技術のプロにとっても充分、役に立つ本といえる。(袴田哲郎) |