自分の頭と身体で考える 456957694X PHP研究所
■Amazonエディターレビュー 解剖学者と武術家という、一風変わった取り合わせの2人の対談をまとめたものである。養老孟司は、東京大学医学部教授を退官後、北里大学で教鞭を執る解剖学者である。また甲野善紀は、剣道などの武術を通して、精妙な古伝の術理と技法を探求している。お互いの専門分野は異なるが、どちらも扱っているのは「身体」である。古武術と解剖学の視点からそれぞれ世の中のさまざまな事象を見てみると、実におもしろい考え方ができるものだと驚かされる。 大多数の日本人(著者らは全体の9割と述べている)は意外にわからないことを「わかったつもり」で生活している。そして、高名な人物が「白」と言えば「白」であるし、「黒」と言えば「黒」である、というような風潮も見られる。そんな大多数の「何も考えていない」人に、もっと物事を自分の「方法論」で考えてみよう、と呼びかけている。教育、政治、環境問題、医学などにまつわるさまざまな問題が、彼らの「方法論」によってバッサリ切られていく。手厳しい意見も多いが、ハッとさせられるのも事実である。 そしてさらに特筆すべきは、物事を表現する言葉がとにかく豊富なことである。1つの事象を説明するのに、次から次へと言葉が飛び出してくる。養老・甲野の真骨頂ともいえるだろう。(冴木なお) |