「実際のヒエログリフを見てみよう!」のセクションでは、ウナス王のピラミッドやトトメス3世のオベリスク、ラムセス2世が愛したネフェルトリ(ネフェルタリ)王妃の墓など、主だった観光スポットのヒエログリフが一部和訳されている。巻末にはエジプトに観光に訪れる際の簡単なガイドになる「エジプト・ヒエログリフマップ」がついている。
オールカラーでビジュアル重視のこの本は、古代の神聖文字に気軽に接することができるように工夫されている。古代エジプト語の学習書というより、ヒエログリフにまつわる基礎的知識の解説書で、石に刻まれたファラオの名がなんとなく認識できたり、遺跡に刻まれた神聖文字を見て想像を膨らませたりする手助けになる。ヒエログリフで自分の名前などを書いてみたいのなら、『ヒエログリフを書いてみよう 読んでみよう』(白水社刊)がおすすめ。(望月真弓)
第2章「ヒエログリフを読んでみよう!」は王名、神名に続き、日付、計算方法、よく使われる表現の紹介。王名と神名については、文字のほかに簡単な説明がつけ加えられている。続く第3章「実際のヒエログリフを解読してみよう!」では、ツタンカーメンの墓に絞って解読。棺や壁に描かれた神聖文字の読み方と意味を、写真をつきで紹介している。
オールカラーで遊び心いっぱいの『ヒエログリフを書こう!』(翔泳社刊)に対し、モノクロで実用性を重視した語学書のような作り。写真は少々わかりづらい。文中の句読点が和文の「、」「。」の代わりに英文の「,」「.」が使用されているのも気になる。ただ、文字を書いて練習する欄があるので、何度も練習すれば、自分の名前や、ごく簡単な言葉の読み書きはできるようになる。ヒエログリフを筆記体にしてさらに簡略化したヒエラティック(神官文字)も併せて紹介されている。(望月真弓)