独習C# 479810146X 翔泳社
■Amazonエディターレビュー おなじみ「独習」シリーズのC#版である。独習シリーズは、詳しい解説を読み、章末の問題を解くことで知識を自分のものにしていくことが特徴の本である。 Microsoft.NETの技術のなかで、C#言語のみにフォーカスをあてている。構成は、C#の基礎文法、クラスの使い方、継承、ファイル等の入出力処理というC#言語の基本を中心に記述されており、最後にデリゲート、イベントといった、.NETクラスライブラリを使いこなすうえで不可欠なしくみを丁寧な解説で学ぶことができる。 本書のターゲットは、プログラムやオブジェクト指向言語をはじめて勉強する人であろう。解説は非常に詳しく、「変数とは何か」というところから記述されているのが特徴である。しかし、C#言語のことはひととおり解説されており、初心者本に多い、技術の導入部のみを重点的に解説しているものとは違い、読みごたえがある。簡単すぎず、難しすぎず、ムダなく学ぶことができる。 本書は、初心者向きに書かれているためか、演習問題にはプログラムを書くような問題はない。各問題は、解説されている内容を復習する形で回答するような文章問題が中心である。オブジェクト指向言語のモデルは比較的理解しやすいとはいえ、自分の頭でプログラムを考え、C#プログラミングに慣れるきっかけにはならないのが残念である。しかし、問題を解いていくことによって知識を確実に自分のものにすることで、積み上げ式に展開される解説の理解には役立つだろう。 本書は、すでにC++などでプログラムを書いている人には向かないが、C#が持つ演算子のオーバーロードやデリゲートなどの理解しにくい概念がとてもわかりやすく解説されており、VBなどを中心にプログラミングしてきた人にも最初の1冊として向いている。まずは、基本をきっちり固めてから、クラスライブラリを使った.NETプログラミングに進みたいと思う人におすすめする。(川藤一真) |